油性?水性?ボールペンのインクの種類

ボールペンのインクの主な種類は、油性・水性・ゲルインク・エマルジョン・消せるインクの5つです。

油性インクは溶剤に有機溶剤を使用したもので、耐久性・耐光性に優れています。
水性インクは溶剤に水を使用し、なめらかな軽い書き心地が特徴です。

ゲルインク・エマルジョンインクは、油性と水性の両方の良い部分を併せ持っています。
消せるインクは摩擦によって文字が消える仕組みです。

今回は、ボールペンのインクの種類とそれぞれの特徴を紹介します。

ボールペンのインクには主に5種類、色素は2種類



ボールペンを選ぶときにまず注目したいのが、インクの種類です。
ボールペンのインクには、油性・水性・ゲルインクのほか、エマルジョンインク・消せるインクといった5つの種類があります。

ボールペンのインクは、溶剤・色素・定着剤、その他添加物などから構成されており、使用する素材によって特性や書き味が変化します。

溶剤とは、色素や定着剤を溶かし込むものです。
溶剤に有機溶剤を使用しているものは「油性」、水を使用している場合は水性となります。

また、「色素」については「染料」と「顔料」の2種類が存在し、それぞれ特徴が異なります。
まずはインク別の特徴についてみていきましょう。

ボールペンのインク別それぞれの特徴



現在、市場で流通しているボールペンに使用されているインク5種類の特徴について、それぞれ詳しく解説します。

1. 油性インク


色素や定着剤を粘度の高い有機溶剤に溶かし込み、樹脂などを加えて作られるインクです。
油性ボールペンの歴史は長く、1943年、ハンガリー人のラディスラオ・ピロ氏によって開発されました。

メリット:耐水性・速乾性に優れている


油性インクは耐水性に優れ、水に濡れても文字がにじみにくいという特徴があります。
「顔料」を使った油性ボールペンは耐久性も高く、経年劣化による色あせが起こりにくいというメリットがあります。顔料については後でご説明します。。

また、乾きが早く、裏抜け(紙の裏側までインクが染み込んでしまうこと)しにくいため、重ねた紙を汚すこともありません。

郵便局の伝票や領収書といった複写用紙に記入する際など、強い筆圧・しっかりとした筆記感が欲しいときに適しています。
油性インクのボールペンは実用性が高く、普段使いから重要書類への記入など、幅広いシーンで活躍します。

デメリット:書き味が重く発色性にやや劣る


油性インクのデメリットとしては、書き味がやや重めで、書き出しがかすれやすい点が挙げられます。
また、ペン先に溜まったインクのかたまりが紙に付着する「インクボテ」が発生しやすいという特徴があります。

筆圧が弱い、ゆっくりした筆記、薄い紙への筆記の際は注意が必要です。
油性インクは彩度が低く発色が良くないため、カラーバリエーションが少ないという面もデメリットのひとつでしょう。


2. 水性インク


溶剤に水を使用して作られたインクです。
主な成分は、色素・水・添加物です。

インクの粘度が低く、万年筆のような軽くなめらかな書き味が特徴です。
ペン先が乾燥しやすいため、キャップ付きのものが主流となっています。

メリット:軽い書き味と発色の良さ


水性インクは弱い筆圧でもさらさらと書けるため、長時間使い続けても疲れにくいというメリットがあります。
また、油性インクと比べてインクボテが発生しにくいです。

発色が良いため、カラーインクを使って鮮やかな色を表現することも可能です。
カラー展開も豊富で、学習ノートや手帳など、細かく色分けして使用したいときに便利です。

デメリット:耐水性に劣る


水性インクのデメリットは、油性インクに比べて耐水性に劣る点です。
水性のインクは特に水に弱く、筆跡に水滴が落ちたり、手汗で湿ったりすると、文字が滲んでしまいます。

薄い紙に筆記した際、紙の裏側までインクが抜けてしまう「裏抜け」が発生する場合もあるため、注意が必要です。
ノートの表紙など、表面がツルツルとした用紙への書き込みにも不向きです。

インクの水分が紙に吸収されず、筆記後すぐに触るとインクが手や指にベッタリと付いてしまい、文字が擦れてしまいます。

3. ゲルインク


ゲルインクは、大手文具メーカー「サクラクレパス」が開発した水性インクです。主な成分は、色素・水・添加物(ゲル化剤など)です。
1982年にサクラクレパスからゲルインクボールペンが発表されて以来、各メーカーがゲルインクの開発に着手し、さまざまなゲルインクボールペンが販売されるようになりました。

ゲルインクの登場によって、水性ボールペンのシェアは飛躍的に上昇し、近年では油性ボールペンの3倍以上となっています。[注1]

[注1]日本筆記具工業会: 筆記具類の販売金額・販売数量
http://www.jwima.org/toukei/hinmoku_kunibetu/html/toukei_siryo02/toukei_siryo02.html

メリット:水性インクと油性インクのハイブリット


ゲルインク最大のメリットは、水性インク特有のなめらかな書き味を持ちながら、油性インクの速乾性と耐水性を兼ね備えている点です。
ゲルインクは、水性インクにゲル化剤を混ぜて作られます。

リフィル内部では粘度の高いゲル状インクですが、筆記の際、力が加わりペン先のボール部分が回転すると、粘度の低いさらさらとしたインクに変化します。
紙の表面に付着したインクは、再び乾きが早く滲みにくい高粘度のゲル状に変化します。

デメリット:インクの減りが早い


油性インクと水性インクの良さを兼ね備えたゲルインクですが、欠点もあります。
インクの減りが早く、油性インクや通常の水性インクに比べて筆記距離が短い点です。

大事な一面でインク切れを起こさないよう、替芯やボールペンのストックを持っておきましょう。

4. エマルジョンインク


大手文具メーカー「ゼブラ」が5年の歳月をかけて開発し、2010年に発表した最新式の油中水滴型インクです。
特殊な配合方法によって油性インクと水性インクを7:3で混ぜ合わせ、乳化した状態になっています。

ゲルインク同様、油性インクと水性インク両方の良さを兼ね備えたインクです。

メリット:書き味がなめらかで耐水性・耐光性に優れている


エマルジョンインクのメリットは、水性インクのような軽い書き味と、油性インクのような耐水性・耐候性を併せ持っている点です。
しっかりとした濃い発色で、書き出しのかすれや滲みもありません。

デメリット:インクの減りが早い


エマルジョンインクのデメリットは、ゲルインク同様インクの減りが早い点です。
また、用紙の種類や使用する環境によってはインクのダマができたり、乾きが若干遅い場合があります。

5. 消せるインク


消せるインクは、温度変化によって筆跡が消える顔料を配合した、ゲル状インクです。
パイロット社のフリクションシリーズなど、書き直しができるボールペンとして若年層に人気があります。

メリット:書き直しができる


消せるインクのメリットは、なんといっても書き直しができる点でしょう。ボールペン頭部のラバー部分で消したい箇所を擦り、摩擦熱によって文字を消します。

スケジュール変更が多い手帳への記入や、授業や講義などのノート取りなどに重宝します。
以前は「インクの色が薄い」という欠点がありましたが、最近では濃い発色の消せるインクも出てきています。

デメリット:公的文書には使用できない


消えるインクは簡単に文章の修正・書き換えができるため、役所などに提出する書類や領収書など、公的文書での使用は禁止されています。
また、温度変化によって文字が消える仕組みのため、高温になる場所に保管してしまうと、文字が消えてしまう可能性があります。

インクの色素について、染料と顔料


冒頭でお伝えしたとおり、ボールペンに使用する色素には顔料と染料の2種類があります。
それぞれの特徴について記載します。

染料


有機溶剤や水といった溶剤に、完全に溶けるタイプの色素です。
紙の繊維に浸透することで着色します。

発色性に優れ、鮮やかな筆跡が特徴です。
溶剤に溶けやすく発色が良いという特性から、顔料よりもカラーバリエーションが豊富です。

書き味がサラサラと軽く、長文の筆記やペン画などに向いています。
一方で、耐水性・耐光性に劣るというデメリットもあります。

直射日光などの強い光で変色したり、水に濡れると滲んだりしてしまうため、使うシーンには注意が必要です。

顔料


溶剤に溶けないタイプの色素です。
紙の表面に留まることで着色します。

筆跡に透明感がなく、発色の面で水性インクにやや劣りますが、耐水性・耐光性に優れているのが特徴です。
長期保存したい文書の作成や、公文書などの重要書類への記入、封書の宛名書きなどには、顔料を使用したボールペンが最適です。


【まとめ】

ボールペンは用途に合わせたインク選びが大切


ボールペンには油性・水性・ゲルインク・エマルジョンインク・消せるインクの5つの種類があり、それぞれ違ったメリット・デメリットがあります。

公文書などの重要書類を書くのか、自分の勉強用のノートに書くのか、用途に合わせてインクや色素の種類を選んで使用しましょう。